ファセット分類記号とは何か?分類を使った調査実例も紹介します

以前、特許調査でファセット分類を使う機会がありました。

このファセット分類の付与は現在廃止されているので、新規に分類付与されることはないものの、過去に付与されたものは今でも検索可能なので、調査の目的によっては利用する可能性は十分にあります。

ちなみに、特許分類と聞くとまずパッとIPC、FI、Fタームが思い浮かびますよね。
この3つは調査でも頻繁に使います。(さらに言い出すとCPCとかありますが、ここでは話が脱線してしまうので割愛します)

私自身、ファセット分類については存在を知ってはいましたが、なかなか調査で使う機会がありませんでした。
そんな中、ファセットを使う場面に遭遇しましたので、これを機に「ファセット分類について、どういうものなのか?」とか、「どういう使い方があるのか?」という観点でまとめてみました。




ファセット分類の基礎知識

いきなり実践的な話をする前に、まずはファセット分類ってどういうものなのかという基本的な情報を紹介していきます。

現在はファセット分類は付与されていない

上でも書きましたが、現在このファセット分類は廃止され、平成29年11月13日以降は特許文献に対してファセット分類が付与されることはなくなりました。

ただ、廃止前に付与されたファセット分類記号は残っていますで、調査での利用が可能です。

ファセット分類はどんな観点で分類されているのか?

ファセット分類とは、FIの分類を対象に、分野をまたいで観点が共通するものを抽出できるように、3桁のアルファベットが文献が付与されています。

例えば、「紙パック(ファセット分類:B65D,BSK)」を例に挙げてみます。
このファセット分類は容器に関する分類(B65D)に含まれる分類のなかで「紙パック」に関連する文献に対してファセット分類(B65D,BSK)が付与されてます。

容器に関する分類(B65D)といっても、「容器に使用される材料に関する分類」だったり、「容器の製造方法に関する分類」だったり、「容器の形状に関する分類」だったりと、容器に関する分類でも多岐にわたります。
なので、B65Dの分類が付与されている文献で、紙パックに関わるものであれば「紙パック(ファセット分類:B65D,BSK)」が付与されているのです。

また、他にどんな分類があるかを知りたい方は、下記URLから分類のリストを取得することができます。

お探しのページが見つかりません | 経済産業省 特許庁(Japan Patent Office)

ファセット分類でも2種類ある

ファセットの適用範囲には2種類あるので、調査で使用する際は気をつけてください。
一つは「適用範囲が1クラス内」、もう一つが「広域ファセット」です。

<適用範囲が1クラス内>
ファセット分類がA~Hのクラスのうちの一つのクラスを対象にしている

<広域ファセット>
FI全体(クラスA~H全体)を対象にしている

2種類の違いは、「一つのクラスの範囲内で調べたいのか」、「分野は問わず(クラスA~H全体)で調べたいのか」なので、目的の応じて使い分けましょう。




【実例】幅広い分野で調査を行うときにファセット分類が使える

幅広い分野を対象に調査を行うとき、ファセットが使えるか検討してみる

私が担当した調査の話をしますね。
実際にどういう調査の時にファセットを使ったのか、という実体験になります。
「こういう場面でファセット分類を使えば良いのか」という一例として参考になればと思います。

以前、とある方から「新規事業の立ち上げのため、とある樹脂に関する公報を集めて欲しい」という依頼がありました。

依頼者の話を聞いていくと、その注目している樹脂の知識や情報を収集・整理したいので、樹脂が使われている技術分野、製造方法、用途、材料など幅広く情報を集めてほしいということでした。

樹脂系の調査って、種類によっては調査母集団が大きくなることはよくある話で、このときもその母集団がものすごく大きくなるパターンでした。

製造方法、用途、材料・・・と幅広く拾える検索式を作るには、たくさんの特許分類(IPC、FIなど)を調べないといけない・・・
「かといって、虱潰しに特許分類を拾ったつもりでも、もしかしたら分類の見落としも発生しそう・・・
と、当時の私は悶々と悩んでいました。

それに、いくら幅広く調べて欲しいという希望でも、依頼主だって予算の上限はあります。
闇雲に調査すればいいわけではないので、調査方針のヒントを求め周りに相談したところ、ある調査員から「一度ファセット分類があるか調べてみたら?」と一言もらいました。

「気がつかなかった!」と早速調べてみたら、使えそうなファセット分類を見つけることができ、調査依頼主も納得できる調査方針を提案することができました。

ただし、現在は分類付与されていないので、その点は注意しながらの分類の利用になりますが、今回のように用途や技術に限定がない場合の調査にファセット分類が使えるという例になります。

さいごに

いかがでしたか?

ファセット分類という言葉自体、仕事をしていてそんなに耳にする機会はないのですが、調査をする上では全く無縁という訳ではありません。
どういうものかを理解していれば、使うべき調査で上手く利用できますし、調査方針の提案の幅も広がるはずです。

こういったちょっとした知識もしっかり身につけていくことで、幅広い調査の対応力を身につけていきましょう。

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