特許に関する資格!知的財産翻訳検定について調べてみた

特許業務をフリーランスで仕事をしたい、自身のレベルを資格に合格して見える化したい、等考えることってありますよね。
やはり資格があると、自信にもつながりますし、将来の仕事の足掛かりになることもあるので、無視はできない存在です。

知財に関する資格にはいくつかあり、順番に順番に取り上げて紹介していこうと思っています。
第1回目は、『知的財産翻訳検定』です。
語学や翻訳に関する資格はよく見かけますが、特許翻訳の資格というのは珍しいな、という第一印象があり興味を引きました。
私自身、実務をする中で特許翻訳の仕事があることは聞いたことはありましたし、資格試験の存在も知っていましたが、どんな試験内容なのかといった詳細は把握していませんでした。

ということで、どんな資格なのかを紹介していきたいと思います。

▼▼【参考】特許翻訳の講座を提供している企業についてはこちらで紹介しています。▼▼




知財の資格『知的財産翻訳』とはどんな資格なのか?

知的財産翻訳検定は2004年12月から始まった特許翻訳試験です。
この資格試験は、欧米や中国などの海へ特許申請する際に、誤訳などといった不備を防止するための、翻訳家を育成することを目的としています。

ざっくりとこの資格試験の特徴を箇条書きにしてみました。

  1. 民間資格である
  2. 級は1級、2級、3級があり、1級のみ合格候補者の面接がある
  3. 「和文英訳試験」、「英文和訳試験」を年に各1回実施している
  4. 1級のみ、選択問題がある(2級、3級は選択問題は無し)
  5. 受験はインターネットで行う(自宅で受験可能)
  6. 午前と午後の部で、級、分野の併願が可能
  7. 受験資格は、制限はなし(経験は問わない)
  8. 受験言語は、英、中、独がある。(ただし、中、独は秋検定試験のみ実施)

基本情報は、公式サイトに書かれているので、補足することや、これら以外の情報を紹介していきたいと思います。

▼公式サイトはこちらです。これまでの開催された全ての試験の過去問も掲載されています。

日本知的財産翻訳協会(NIPTA)Nippon Intellectual Property Translation Association

試験は2種類あり、分野や試験種類の選択は自分次第

和文英訳(春検定試験)と英文和訳(秋検定試験)と、二種類あることに特徴がある試験だなと思いました。

和訳、英訳のどちらかしか受験をしない場合は1年に1回の試験となります。
また、1級は、5分野からの選択問題があります。
2級と3級は選択問題はありません。

試験科目の選択の仕方も人それぞれで、
例えば、英文和訳の1級で複数の科目を合格している人もいました。
もちろん同じ分野で和文英訳試験、英文和訳試験をそれぞれ合格する人もいます。

一つの分野で和英、英和で合格を目指すか。
和英か英和に絞って、複数の分野で合格を目指すか。
どのように受験をするかは目指す目標や仕事によって選択できる点はこの資格の興味深いところだと思います。

受験人数と合格者数は?

各級でどれくらいの人数が受験しているのかというと和文英訳試験(試験日:2022年4月17日)の1級は80名(うち合格者10名)、2級は22名(うち合格者10名)、3級は22名(うち合格者16名)でした。

全受験者の6~7割が1級を受験しているという状況です。
やはり、肩書きとして発揮するのは1級から、ということも背景にあるのかもしれません。

試験時間中はネット検索しながら解答することもある

自宅で受験ができるのが本試験の特徴の一つです。
もしやと思っていましたが、やはり受験の際、わからないテーマの問題が出たときは用語等をネット検索を活用しながら解いているとのことでした。

受験資格は制限がない。ダブル受験もどの級からでもOK

受験資格の制限がないことから、学生でも受験が可能です。

また、仕事で特許翻訳をしている人では、1級や2級から受験する人が多いようです。
午前と午後で受験時間が被っていなければ、ダブル受験も可能なのがこの試験の特徴です。




知的財産翻訳検定の受験の最低ラインの目安はTOEIC700以上

特許翻訳なので言語レベルが高い人が受験しているのは想像に容易いのですが、将来特許翻訳を目指す人が受験を考え始めた時、最低ラインがどれくらいなのか気になりました。
調べてみたところ、TOEIC700レベルをひとつの目安でした。

一般的にスコア700というと、「意見を述べたり、複雑な要求にたいして応えられるようになっている」というレベルイメージです。
実際に特許翻訳の業務をしている立場からすると、最初はスコアが700程度あれば十分という意見も見かけます。
実務を考えたら、英語レベルが高い方に越したことはないとは思いますが、特許翻訳は特許に関する知識と専門分野の知識を身に着けていく必要があります。
なので、英語をレベルアップしてから・・・とこだわってしまうと、特許翻訳しての仕事の経験値を積む期間が限られてしまうということが懸念されているんですね。

1級や2級を受験する受験者は、翻訳の仕事をしている人がほとんどでしょう。
特許翻訳の仕事の拍を付けるために1級を目指しているという感じですね。
フリーランスで仕事をするのであれば、資格がある方が翻訳の依頼する側も判断の目安になるため、1級合格を目指す方もいます。

職場によっては、この資格の取得を推奨している場合もあったりしますし、受験費用の負担などフォローがあるところもあります。
なので、働きながら受験するということスタイルで勉強していく方が多いのかも知れません。

さいごに

知財の仕事のことを幅広く知りたいという私の興味から、資格シリーズを始めてみました。その第1回目が知的財産翻訳検定でした。
特許翻訳の仕事の存在は知っていましたが、資格のことを知ることで翻訳に求められるレベルやイメージがはっきりしますね。

特許翻訳の資格と仕事のことを調べてみて感じたのが、やはり知財の仕事は法律理解や技術分野の理解が重要なのだな、ということです。
そのうえで、翻訳の実力をレベルアップしていくというのがベストなようですね。
特に文系の方で特許翻訳を志望される方は、最初は資格の級を気にし過ぎず、知財業務から専門知識を身につけていくことも大事になっていきます。
確かに私も仕事をしていると、中間業務対応や専門技術の理解があるだけでも戦力としてかなり心強いと感じているので、どこでも同じ共通認識なのだなと共感してしまいました。

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