
進学を考える学生さんは、「研究が好き」「研究が楽しい」「今やっていることをもっと深く勉強したい」という気持ちをもって、日々励んでいると思います。
ネットで調べてみても「やめとけ」「つらい」等のネガティブワードばかりが目につくけど、具体的にどうつらくて大変なの?
・・・て思いませんか?
おそらく、この記事にたどり着いたということは、博士への進学を真剣に考えているんだと思います
実際、博士って本当につらいし、大変です。ここではそう感じる理由を説明していきます。
今回は、「博士で日々研究を頑張っているところだよ」という学生さんも、「博士をこれから目指すよ」という人にも参考になれば良いなと思い、就活の事、進学を決める際の確認して欲しい事やアドバイスをまとめてみました。
厳しい言い方もしますが、博士号を目指す学生さんを応援したい気持ちもあるからこそ、ちゃんと伝ていきたいと思います。
博士後期課程が「しんどい」「つらい」「大変」という理由を考えてみた
博士は「しんどい」等の情報が飛び交っていますが、それは本当です。
修士の時のノリでいると、痛い目をみるのは本当だと思います。
でも、どうしてそう言われるのかいまいち理由がわかりませんよね。
(教授との相性もあるかもしれませんが、こればかりはラボに入ってみないと分からない点なので、割愛します)
私が思うに、博士というのが何を求められて、修士の時とはどう違うのか・・・。
そこが分かっていないと「つらい」と思う原因になっているのではないかな、と考えています。
私なりに、理由や原因を挙げてみました。
なんとなく「研究が好き」だから進学していませんか?
研究が好きなのは良いことです。
ただ、修士と博士では、求められることに大きな隔たりがあります。
よく考えてみてください。
教授の皆様は、修士までは「学生」として指導してくれています。
ですが、博士を目指すとなるとその人を「研究者・教育者」を育てようして指導しているのです。
当然ですが、指導の厳しさが変わります。
教授も、学生に博士号を背負うだけのものを身につけさせて世に送り出すという責任があるのですから。
また博士は自分の研究をしながら、後輩の指導、教授との議論の日々を過ごすことになります。
学会への参加する機会も増えます。
とにかく、博士は研究室の中でも外でも高いコミュニケーション力が求められます。
そして、後輩の指導というところから気がつくと思いますが、博士は「受け身の研究」ではなくなります。
黙々と自分の好きなペースで実験台で作業していれば良いのは、修士までだと思っておくべきです。
自分の中にある「研究が好き」の定義をよく確認して
博士を目指すのだから、大抵の人が「研究が好き」ということを口にするのではないでしょうか。
でも、研究が好きって言っても、人によって少しずつ違いがあると思います。
- 実験台の側で一日過ごすのが好き
- 実験のルーティン作業が苦じゃない
- 論文を書くことや読むことが好き
- ラボのメンバーや教授と研究のことを議論するのが好き
- ラボ(もしくはアカデミア)という環境が好き
研究が好きと思う理由には、人それぞれにあると思います。
さて、あなたは「どうして研究が好きですか?」
自分の中で「研究が好き」というのを具体的にしておかないと、いざ予想もできないくらいつらい状況に陥ったとき、本当につらくなります。
一方で、どうして研究が好きなのかが具体化できていれば、苦しくても乗り越えられるきっかけになったりもします。
修士での就職が厳しいから、「とりあえず博士に進学」と考えていませんか?
博士は最低3年(優秀な方は2年)の時間を必要とします。
その数年間の時間を受け入れられるだけの覚悟はありますか?
「履歴書でブランクの期間を作りたくない」程度の理由でしたら、博士への進学はおすすめしません。
今の就職活動をどんなに苦しくても頑張った方が良いと思います。
そもそも、たとえ履歴書にブランクがあってもちゃんと理由を説明できれば、ブランクを理由に不採用にするとは限りません。
私自身、履歴書を書くと学歴も職歴もないブランクの時期がありますが、ちゃんと理由を説明できましたし、就職活動に不便があったと感じたことは無かったです。
もちろん博士でも就職はできますよ。(実際、私だって企業に勤めています)
でも、博士に進むことで世の中の人からは「即戦力」、「リーダーとしての人材」という目で見られます。
言葉の響きは魅力がありますが、博士に進めば誰もが特に何もせずともリーダーの力を身につけられる訳ではありません。
それから、ちまたでもよく言われますが、博士になると就職活動できる範囲が本当に狭くなります。
大企業は博士の受け入れ枠があるところが多いですが、狭き門です。
中小企業も少しずつ博士人材を理解してくれるところが増えてきているものの、やはりまだ「博士人材を雇うのはちょっとハードルが・・・」と思うところも多いです。
博士の就職活動をはこういう課題を乗り越えなければやっていけない面もあります。
もう一度言いますが、博士の就職はできますが、修士ほど優しくはありません。
博士後期課程に進むと決めたらなら、研究以外にも目を向けて欲しい
ここからは、博士で頑張っていく学生さんに送りたいアドバイスになります。
私もそうだったのですが、博士後期課程で頑張る学生さんって意外と能力があるのですが、周りも俄然高いから気がついていない人って結構いるんですよ。
(私自身、会社勤めをするようになり気がついたことが多かったです)
学生の間にしておくと後々メリットがあることや、意識しておいて欲しいことを紹介していきます。
学会や学内交流などでたくさんの人と出会い、人を見る目を養おう
これ、結構大事です。
人に会うってことは価値観を広げるだけでなく、人を見る目を養います。
なぜ大事かっていうと、将来するであろう就職活動では人とたくさん会いますよね。
そして、その中から勤め先の候補を決めていくのです。
そして、就職活動とは「自分の働く場所としてやっていけるか?」「この人は自分の上司になる人かも知れない(ついて行けそうか?)」など、一瞬で判断することになるのです。
採用側も、同じ目線でみています。
ある程度人を見る目を養っておく方が、就職活動に有利です。
人を見る目を養うところは探せば身近にあります。
大学内の交流イベントや学会を利用していきましょう。
学会には大学関係者だけで無く、企業の人もいます。
たくさんの人と話してください。
それから、博士になると研究室にこもりがちになる人もいますが、それはすごくもったいないです。
学会だけでなく、専攻を超えた交流にも是非参加してみましょう。
感性や感覚が似た人、自分の知らない価値観を持つ人といった様々な人に出会うことで、自分の視野が広がります。
余談ですが
人生不思議なもので、思わぬところから新しい道が開けたりもします。
希な話ですが、学会や論文といったところから繋がった結果、企業からヘッドハンティングされたという話も聞いたことがあります。
学会などでの交流は、ただの成果発表や実績作りの場とは限りません。
将来、学会などで出会った人と再び仕事上で繋がることもあります。
私自身も、それに近いことを経験しています。
学会などを利用してコミュニケーション能力をあげよう
ところで、コミュニケーションってなんなんでしょうね?
私もたまに考えさせられます。
ざっくり言ってしまえば「誰とでも話せる力」でしょうか。
でも、誰とでも話せるってどういうことなんでしょう?
私は、「どんな相手にでも自分の考えていることを理解してもらう力」だと思っています。
そして、それを鍛えるのに最適な場所がいくつかあります。
一つがラボ内での成果発表の場、もう一つが学会です。
ラボ内での成果発表
ラボ内での成果発表は、学生さんはよく分かっているかと思います。
教授や同期の学生からズバズバと厳しい質問のシャワーが来ると思います。
でも、それって愛の鞭です。
この愛の鞭を上手く乗り越えないと、学位審査なんてもっと厳しいですよ。
どんな切り口から質問が来ても答えられるくらい、自分の研究のことを深く考える努力をしましょう。
学会
次に、学会です。
学会にはどんどん参加しましょう。
学会って自分の成果をただ発表するだけではないです。
色んな分野の方が来ているのが学会です。
もしかしたら、聞きに来てくれた人はあなたの専門分野ではないかもしれません。
そんな相手にどうやったら理解してもらえるか考えて、伝える力を磨いてください。
コツは、「難しい言葉(専門用語)を使わないでいかに説明するか」です。
個人的な意見ですが、ポスター発表の方が相手のちょっとした変化をくみ取ることができるので、ちゃんと伝わったかどうかを判断しやすいと思います。
私は、自分の伝える力がどれくらい身についたかよく分かったのでポスター発表に参加することは好きでした。
今でも、仕事の関係で学生さんの研究発表を見に行く機会があったりするのですが、専門用語をバンバン使って説明している学生さんを見かけると、「研究の本質ちゃんと分かってるのかな?」と思うこともあります。
実際に、「もっと簡単に説明して欲しい」とお願いすると、ちゃんと理解している人は簡単な言葉に言い換えて説明してくれます。
その時はうまくできなくても、そういう努力をしている人はちゃんと分かります。
資料作成能力は結構高い
報告書、論文、研究発表や学会のプレゼン資料など、とにかく資料を作成する機会は多いです。
学生の時って意外と気がついていないのですが、資料を作るスキルが高かったりするんです。
毎日のようにパソコンに向かっているので、タイピングも早いですし。
また、資料作成能力は博士の研究生活をしていると、自然と身につく力だと思います。
- 短時間でサッとたたき台を作ってくる
- 図や表を作ることに慣れている
- ワード、パワーポイント、エクセルをある程度使いこなしている
これだけのことでも、できない人は大学を出てみると結構いたりします。
会社で働いてみると分かるのですが、時間が掛かった割に「これでいいの?」「・・・で、何が言いたい資料なの?」と思う資料を持ってくる人、結構います。
(それが上司だったりすると、なかなか口には出せないのですけど・・・。)
学生さんによっては、人前で話すのが苦手だから資料を分かりやすく書くという能力に目覚める人もいました。
上で書いた「簡単に伝える力」は、話すだけでなく、書くことでも発揮できるんです。
是非、この力もどんどん磨いていってください。
さいごに
いかがでしたか?
私自身の経験も踏まえていたので、ついつい熱く語ってしまいました。
私が学生の当時「こういう情報があったら良かったのに・・・」と思ったこと、卒業した今だからこそ「こういう事を学生さんに伝えたいな」と思うことを書きました。
もし、進学で悩んでいる人、就職活動で壁にぶつかっている人で、この記事の内容が少しでも役に立てば幸いです。
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他にも、私自身の経験談も紹介しています。
皆様の進路選択の参考になればと思います。



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